隠れ蓑〜Another story〜


「そういうと思いました。でも違いますよ?兄には報告とかしないでいいですから。」

「そうですよ。つい最近、晶帆に振られたばかりなので直ぐに次っ!とはならないですね。しかも彼女は晶帆の親友ですし、流石にないですよ。今日は美味しい居酒屋があると聞いたので連れて来てもらったんです。」

「そうでしたか。それは失礼しました。でもとてもお似合いですけどね。美男美女でっ!!莉子ちゃん、あんなにモテるのに恋人を全然紹介してくれないから心配なんだよ?」





本気で心配そうな表情を浮かべる店長に、痛む胸を押さえながら無理して苦笑いを浮かべる。


「ご心配ありがとうございます。でもそのうちとびっきりいい男を紹介しますから少し待ってて下さい。それより店内がお客様で一杯ですけど、戻らなくて大丈夫ですか?」

「あ!本当だ。ごめんね莉子ちゃんっ、、!ゆっくりしていって?勿論、お連れの方も。」





店内の人の多さに気づいた店長は、慌てて厨房へと戻っていった。

そんな後ろ姿を見つめていると、正面に座っていた柿本さんが小さく呟いた。




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