隠れ蓑〜Another story〜


口元に手を持っていって、悩んだように自分の書いたデザイン画を眺めている。





「、、確かにこれじゃ顧客のターゲットは絞られるな。どうりでうちのお客様は可愛い系の子ばかりなわけだ。」

「すみませんっ、、素人が口を挟んでしまって!酔った女の独り言ですから忘れて下さい。それにそういう服を皆、柿本さんに求めているんですから。」

「いや、そういうのが欲しかったんだよ!デザイナーっていうのは常に刺激を求める生き物なんだよ。なんだか自分の殻が破れそうな気がするっ、、!どんなタイプの女性も〝これ着たい!〟って思える服を作るのが夢なんだ。」






私の呟いた独り言の所為で、柿本さんの何かに火をつけてしまったようで興奮したように鉛筆を持ってノートに向かい始めた。


ぶつぶつと独り言をいいながら、書いては消し、書いて消しを繰り返している。








なんだか、そんな姿を見るのが楽しくてついお酒も進む。









1人飲み続ける女とデザインを書き続ける男という奇妙な2人組は、居酒屋の閉店時間まで居続けたのだった。


< 147 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop