隠れ蓑〜Another story〜
「お心遣いに感謝いたします。ご迷惑じゃなければまた通わせて下さい。」
「迷惑だなんそんな。次来られる時もまた莉子ちゃんと来て下さいね。普段そんな飲み方しない莉子ちゃんが貴方と一緒ならハメを外して飲んじゃうみたいですから。彼女と一緒ならうちとしても売り上げが上がりますから、大変助かります。」
冗談なのか本気なのか分からない言葉で場の空気を和らげた店長。
そして今度はこちらに向き直り、言葉をかけて来た店長。
「いつもは晶帆ちゃんと2人だったから、責任感から気が抜けなかったんだよね?たまには気兼ねなくお酒に飲まれるのもいいもんだよ。莉子ちゃんはいつも気を張ってるから。たまには今日みたいに肩の力を抜いて、好きなように過ごすのも良いと思うよ。またおいで?」
「っ、、はい!」
「所で帰りはどうする?送って行こうか?」
そういって何故かチラリと柿本さんの方に意味深な視線を向けた店長に疑問に思ったが確かに柿本さんに送ってもらうのは申し訳ない。
それに店長なら私の家も知っているし、2人きりになれるチャンスでもある。
「え?もう店長終わりですか?なら、、お願いしてもい『俺が送って行きますから大丈夫ですよ。今日は元々そういう約束でしたから。それに店長さんもご存知の通り、一滴も呑んでませんから。』」
店長に送ってもらおうとした言葉は、大きめな柿本さんの声に被された。