隠れ蓑〜Another story〜
申し訳なさそうに呟く柿本さんの言葉にハッとした。
確かに強引な柿本さんにイライラした。
でもそれは店長に送ってもらえなかったのが悲しかったわけじゃない事に気付いて混乱してしまう。
だって晶帆にはあんなに壊れ物を扱うよう優しく接するのに、私には背中を強引に押してくる、、そんな柿本さんの態度にイライラしたんだ。
自分の中の〝小さな変化〟に驚きを隠せなくて黙り込んでしまう。
するとそれを勘違いした柿本さんが、更に弱々しく呟く。
「本当に反省してる、、。次は絶対に邪魔しないから!約束するっ!!だからそんな不機嫌なオーラ出さないでさ、、こっち向いてよ。」
チラリと運転席にいる柿本さんに視線を向けると子犬のような目をした柿本さんが可愛く見えて、あれこれ考えるのがバカらしくなった。
「もう怒ってませんから、ちゃんと運転に集中してください。事故ったら一生恨みます。」
「安全運転で帰らせていただきます!」
そう姿勢を正した柿本さんの姿を見て、また可愛いなと思った。