隠れ蓑〜Another story〜
「、、残酷な事、させてごめん。傷つけてごめん、、勝手に抱きしめてごめん、、嘘ついて、、本当にごめん、、、。」
今にも泣きそうな声を出しながら俯く柿本さんの肩を強めに叩く。
「いっ、、!?」
「体調不良にさせられた事と勝手に抱きしめてきた事はこれで許します。、、でもあとは柿本さんが謝る事じゃないです。」
「いや、俺があんな事言ったから。」
「私の背中を押してくれたんですよね?、、柿本さんが長いこと晶帆に片想いをしていて辛かったから、、、私の気持ちが痛いほど分かってたから、だから前に進めずにいた私に区切りをつけさせてくれたんですよね?ちゃんと分かってますから。寧ろ、感謝してます。本当に、、ありがとうございます。今日は少し夜風に当たりたいので、、ここからは歩いて帰ります。ご馳走さまでした。」
そう言って、信号待ちの間に車から素早く降りた。
その様子をみて、焦ったように手を伸ばした柿本さん。
「莉子ちゃん、待って!ちゃんと家まで送らせて!!!女の子が1人歩きなんて危ないでしょ!?」
「〝女の子〟だなんて私は晶帆と違って逞しいですから心配はご無用です。それよりも、、早く1人になりたいんです。」
信号が青に変わり、後ろからクラクションの音が鳴り響く。
「、、じゃあ、絶対に家についたら連絡して!絶対だからね!!!ねっ!?」
クラクションが何度も鳴り響く中、発進しようとしない柿本さんに仕方なく頷いた。
「分かりました、必ずしますから。ほら、早く行って下さい。ご迷惑になってますよ。」