隠れ蓑〜Another story〜


そう言って車に背を向けて歩き始めた。





大通りを抜けると、星が綺麗でそれを眺めながら家へ帰った。


1人になったら溢れてくると思っていたのに涙が出そうになったのは、あの一瞬だけで、、その理由も分かっていた。








きっと少し前から店長への想いは〝過去の想い〟に変わっていたんだって事に。

そしてまた長い長い片想いを懲りずに始めようとしている自分に今日の出来事で改めて気づかされた。






私はつくづく運が無いと思う。

社会人になってからは本当にそうだ。





容姿に恵まれて、、言いよってくる男はごまんといるのに、、どうして叶わない恋ばかりしてしまうのか、自分自身に呆れてしまう。


よりによって、親友を好きな男を好きになるなんて、、。








それでも止まらない想いがそこにはあって、諦めにも似た盛大な溜息をついた。



夜風に当たって身体はこんなに冷えているのに、柿本さんの腕の温もりを思い出すとそれだけで胸が熱くなった。










空気が澄んでいて、綺麗な星空がいつも以上に輝いて見えて足取りもいつも以上に軽かった。

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