隠れ蓑〜Another story〜
〝お似合い〟
その言葉を上手く飲み込めない。
それがお世辞だと分かっているから。
それでも必死にその言葉を飲み込んだ。
「うん、、ありがとう。あ、そろそろ掃除先に始めるね!真美ちゃん、ここお願いします。」
そう言って受付から逃げるように掃除道具をもって離れた。
人間って欲張りだ。
想いが通じあって、それだけでも幸せなのにそれ以上を望もうとする。
ずっと続く未来も彼の横に居たい、、そんな欲張りな事を思ってしまった。
そんな邪心を追い払おうと絨毯を無心で掃除していると親友の声。
「晶帆、おはよう。今日は早いね。」
「おはよう莉子ちゃんっ!」
莉子ちゃんに笑顔を向けると、何故か呆れたような表情をされた。
「またなんか拗らせてるでしょ。、、今日のランチ、社食集合ね。」
完璧だと思っていた作り笑いは、直ぐに見抜かれてしまって苦笑いを浮かべた。
「、、話聞いてくれる?」
「勿論よ。じゃあまたお昼にね。」
そう言って通り過ぎていく莉子ちゃんを見て、少しだけ胸が暖かくなった。