隠れ蓑〜Another story〜
「っ、、、悪い!待たせて。」
息を切らしてやってきた愛しい彼。
薄っすら汗を流し、髪を乱したその姿を見ただけで、胸がキュッと締め付けられる。
「ううん、莉子ちゃんとお茶してたから大丈夫だよ。」
「そうそう、惚気話聞かせてもらってただけですから。じゃあ、私はこれで。晶帆、またね!」
圭くんと入れ替わるように椅子から立ち上がった莉子ちゃん。
「、、ありがとう山下さん。本当に助かった。」
「いいえ、私は何も。それではお先に失礼します。あ、それと、、おめでとうございます。末永くお幸せに。」
「あぁ。」
莉子ちゃんは圭くんと一言だけ会話を交わして穏やかな顔をして帰って行った。
「、、行こう。俺の家でいいか?」
会社なのに優しく手を握られて、一瞬驚いたがその大きい手を直ぐに握り返した。
だってもう就業時間は終わってる。
「、、うん。圭と一緒ならどこでも。」
すれ違う同僚の視線が恥ずかしいけど、彼に手を引かれながら会社を出た。
彼も同じ気持ちでいてくれたようで、少し早足な横顔はほんのり赤く染まっていた。