隠れ蓑〜Another story〜
そんな私の不安を感じ取ったであろう津川さんの優しい声色が耳に響く。
『分かった。直ぐに降りるから待ってて。、、、大丈夫だから俺に任せて。』
「っ、、、はい。」
電話を切って彼の到着を待っているとエレベーターから彼が降りてきた。
一気に視線はエレベーターに向く。
痛いくらいの視線を浴びながら、受付にやってきた彼はすぐさま私の手を取った。
「遅くなってごめん。今日は車で来てるから一旦置きに行こう。飲みはそれからな。先にシャワー浴びてから出かけてもいいしね?、、それじゃあ行こうか。山口さん、お疲れ。お先に。」
「はいっ!お疲れですっ!!!また明日ですねっ!!!!」
そのまま手を繋がれたまま、大勢のギャラリーの横を通り過ぎていく。
堂々した立ち振る舞いで、あまりにも自然な甘い恋人の演技にこちらまで勘違いしてしまいそうになってしまう。
「、、明日は平日だから飲み過ぎない程度にしとこうか。あと数日で週末だし、ゆっくりと飲むのはその時にでも。」
「はい、、。」
彼の名演技は、車に乗るまで続いたのだった。