隠れ蓑〜Another story〜
それは彼の本心ではなく、男性を追い払う為に偽った言葉だと分かっているのに全身が熱を帯びる。
胸ぐらを掴まれていた男性は、顔面蒼白になって逃げるように受けを立ち去った。
「、、ごめんなさい。結局、圭くんに迷惑を掛けて、、嘘までつかせてしまって、、本当に、、ごめんなさい。」
「、、嘘なんて言った事ないけどな。」
余りにも小さい呟きは私の耳には届かない。
「え?今なんて、、?」
「いや、何でもない。それより今日はこのまま晶帆の家に行ってもいい?晶帆の作った手料理が食べたい。誤解も解いておきたいし。」
「誤解って、、?」
「俺が山口さんの連絡先を知ってる理由。とにかく帰ろう。荷物纏めて。」
急ぐように催促され、慌てて荷物を纏めるとすぐに手を握られ受付から引きずりだされた。
ロビーに人は疎らだが、繋がれた手に視線が集まってしまう。
「け、圭くんっ、、!人が見てるっ、、、!!」
「見られても構わない。俺らは〝恋人同士〟なんだから。」
〝恋人同士〟という言葉を強調して言うと人目を気にすることなく、手を繋いだまま会社を出た。