隠れ蓑〜Another story〜
そう言って医務室を出た。
向かった先はビルの最上階の社長室。
そこへノックもせずに乗り込む。
「お願いがあります。」
部屋の中央に座る人物に真っ直ぐ向かい、声を掛ける。
「、、ノックくらいしなさい。まぁ、お前がここに来た理由も何となくわかるがな。あれだけ騒ぎになれば。私の耳にも届く。それで、、、彼女の容体は?」
「命に別状はありません。でも、これを何も無かった事にはできませんよね。これは立派な殺人未遂だ。会社のトップである貴方の信用問題にも関わります。」
「それは外部に〝漏れれば〟の話だろう?警察沙汰にするつもりはない。」
「っ、、、!」
「だからと言って、何も無かったことにはしないさ。怪我をした女性が目を掛けている可愛い甥の恋人なら、、尚更。」
無表情で言葉を交わしていた叔父である社長の表情が一変し、困ったような顔をした。
その顔は社長として見せた顔ではなく、久しぶりに叔父として見せた表情だった。
叔父は自分の憧れの人だった。