隠れ蓑〜Another story〜
父親の兄である叔父には、息子が1人いる。
だが、成人を迎え少しした頃に不慮の事故でこの世を去った。
たまに遊びに来る叔父は、カッコよくていつもビシッとスーツを着こなし多忙な日々を過ごしている印象だった。
だからいつしか叔父が自分の目標になっていて、従兄弟である叔父の息子が死んでからはその想いが更に強くなった。
必死に勉強して、コネではなく自らの実力で叔父がトップを務める大手保険会社に内定した。
今の営業課長という役職も、自ら血の滲むような努力して掴み取った場所だ。
自分が社のトップである社長の甥だということは取締役のほんの一部の人間しか知らない。
だからコネだと思われるのが嫌で、今まで公表することは避けてきた。
でももし、、公表することで彼女を守る事ができるなら自分のちっぽけなプライドなんてどうでもいいと本気で思った。
「、、俺が貴方の甥だという事を公表させて下さい。それを許してくれるなら警察沙汰にはしません。」
『それまた随分、、大胆な発想だ。別に公表するかしないかは私には関係ない事だ。寧ろその事を公表して、、、困るのはお前だろう?』