隠れ蓑〜Another story〜
資料片手に会話していた叔父が、資料から手を離し真っ直ぐこちらを見た。
だからこちらも真剣に叔父を見つめた。
「コネだと思われないようにこれまで以上に努力するだけの事です。、、それに貴方をよく知る人間はそういった親族だからといって役職を与えたり昇進させるような生ぬるい事をするトップじゃないと知っているでしょうから。」
こちらの熱意が伝わったのか、叔父は一度深い溜息をついて目を細めた。
「、、お前にそれだけの覚悟があるなら好きにしなさい。ただし加害者である相手は女性だ。暴力だけは許さないよ。、、いいね?」
「、、はい。ありがとうございます。それでは失礼します。」
ゆっくりと頭を下げてから叔父に背を向け社長室の入り口に足を進めると後ろから声を掛けられた。
「圭、お前は変わったな。正直、、心配していたよ。お前は康彦(弟)に似て色んな才能に恵まれた。でもだからこその苦労もあっただろう。つい最近まではお前に闇のような孤独を感じていた。」