隠れ蓑〜Another story〜
次に向かったのは社員専用出入り口。
そこで女を待った。
ここで待てば確実に会えると思ったからだ。
行き交う同僚がこちらに不思議そうな視線を向けてきても構わず立ち続けた。
経理課に配属しているその女とは、、確かに一度だけ身体の関係にあった。
誘われるままにその女を抱いた。
だがそれも随分の前の事。
顔も思い出すのに時間が掛かったほど、俺にとっては何の思入れもない女だ。
だが、そんな俺の過去の行い所為で晶帆を危険な目に合わせる事になるなんて、、、想像もしていなかった。
青白い顔で医務室のベットに横たわる彼女を見て、全身の血の気が引いた。
そして同時に加害者の女に殺意さえ芽生えた。
打ち所が悪ければ、この世から居なくなってしまったかもしれないと考えただけで足元から崩れそうになる。
想像しただけで恐怖に襲われる。
それだけ、、自分の中での彼女の存在の大きさを物語っていた。