恋愛初心者です、お手柔らかに?
「あ、あの日…齋藤君に彼女がいるからって、浜田さんから聞かされて…やっぱり私じゃないの…」

「ちょ、な、何その話。彼女って、もちろん絢の事だろ?」

「ううん…若い子だって…だから…、それで」

ちゃんと聞かなきゃ、と思いながら言葉が出てこない。
齋藤君も何か考えているのか、黙ったままだった。

「あの…やっぱりそうなら…私は、いいの。少しでも齋藤君と付き合えたん…だから」

私はいいの、と言った瞬間、齋藤君が顔を上げた。

「何それ…それで俺と別れるって?何言ってるの?そんなの許す訳ないじゃん。それに、俺が好きなのは、絢だけだけど?絢は俺の事好きじゃないの?」

両肩を持って、私との間を詰めてきた。

「好きよ…齋藤君の事、好きよ。だから、どうしたらいいのか分からないんじゃない。聞きたいけど、怖くて聞けなかっ…」

「絢!」

言った瞬間、齋藤君は私を抱き寄せた。

「誤解…だよ。多分、絢が言ってるのは、俺の妹の事だと思う」

「いも、うとさん?」




< 113 / 125 >

この作品をシェア

pagetop