恋愛初心者です、お手柔らかに?
近い、近いから!!!

行かせませんよ、と言った齋藤君は、これでもかっていうぐらいに私に近づいていた。
こんな顔を近づけられたら私…

「な、なんで?」

「なんで?そんなの決まってるじゃないですか。今朝、白石さんから誘われてたでしょ?だから避ける為にやったんです」

「そ、そっか…って!朝、誘われてたって、聞いてたの?」

「ええ、困ってるな、と思ったから。それに、永山さんって白石さんから告白されてますよね?前に。すげー噂になってるから…、それもあって…だか…」

嘘…
知られてたなんて…
あはは、勝手な想像してバカみたい。

「馬鹿みたい…そんな訳ないじゃない」

「え?永山さん…」

そうだよね、そんな事がある訳ないじゃない。なにを勝手に想像してんの?私。
夢を見るのもいい加減にしないと、ダメよ。

齋藤君にも迷惑かけて…
面倒見がいいんだから、ほんと…

「齋藤君、ありがとね。ダメよね、こんな先輩じゃ。私は大丈夫だから、そんなに気を使ってくれなくてもいいよ。白石さんとの事も大丈夫だから…ごめん、今日は帰るね。残りは明日やるから…」

そう言うと私は、齋藤君の返事も聞かずカバンを持ってその場から走り出した。

「あ、永山さん!」
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