不思議の国のティーパーティー



アオイはため息混じりに「お嬢様が余りにも突っ走るので仕方なくです」と言いながら、手を触れずにあたしが持つ本を浮かし、アオイの手元へと運んだ。



無意識にあたしの手は本を追いかけようとするが、初めて見る魔法に唖然とした。



「すごい!すごいわ!本当に魔法ってあるのね!」



「今までの話聞いてました?魔法を信じずに何を信じていたのです」



「だったら自分の魔法で呪いを解けばいいじゃない!出来ないの?」



「出来てたらとっくに死んでますよ」


一瞬で無駄な会話をしたと気付かされ、逆ギレしながら顔を赤くするいつものパターン。



頭の回転の早いアオイにあたしはいつも通り腹を立てる。



変わらない日常のはずなのに、そう思っているのはきっとあたしだけで、アオイが見たらあたしだけが変わっていっているのだと、ふと気付いた。



突然黙り込むあたしを察したのか、アオイが空気を変える。



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