剛力家の三兄弟

唇が離れると我にかえり、恥ずかしさのあまり真奈美は顔を上げる事が出来ずに、俯いていた。
すると、突然禎憲は「あーもう無理!限界だ!」と叫び出したのだ。

「え?」

やっぱり疲れたのかな・・?

「ごめんなさい。疲れましたよね?気がつかなくて・・少し何処かで休みましょか?」

「ああ。少し部屋で休もう?」
部屋…?

「実は部屋を取ってあるんだ。
今夜は真奈美と二人だけで過ごしたい」

「え?
でも・・外泊は法子さんとの約束で・・」

「お袋には伝えてある。真奈美の気持ちを尊重するそうだ」

「え?」
私の気持ちを尊重する?
それって…

「そろそろ、はっきりさせないか?
真奈美は俺より、明憲や憲剛の方が好きか?
俺とは嫌か?
嫌ならはっきり言ってくれ!
もうこれ以上待てない!
真奈美の気持ちが知りたい。
真奈美を俺のものにしたい!」

「禎憲さん・・」

「嫌なら、俺の手を振り払ってくれ?」

禎憲は真奈美の手を強く握り、離したくないと無言の圧をかけホテルへ直結するゲートへと向かう。

「禎憲さん待って!お願い!私の話を聞いて?」

背後からの真奈美の声に、禎憲は諦め足を止めたが、振り返る事なく、“やっぱりダメか” と呟き、真奈美の手を離そうとした。
しかし、離れかかったその手を真奈美が両手でしっかり握りしめたのだ。

「真奈美・・?」

「明憲さんでも、憲剛さんでもなく、禎憲さんの事が好きです。
出来るなら、あなたと誕生日を迎えたい。
でも・・」

「でも?」

「でも・・澪ちゃんを送って行かないと?」

「それなら大丈夫だ。
そろそろ迎えに来てるだろうから」

ホテルロビーに上がると、既に隆之と留衣が澪の迎えの為に待っていた。

「あら、ちょっと早かったかしら?」と嫌味を言う留衣に禎憲は “早くねぇわ!” と機嫌の悪さを露わにした。

「真奈美さん、今日はホントごめんなさいね?
でも、ホント助かったわ?
澪ったら、最近人見知りが出始めてて、後援会の皆さんの顔見て泣いて困ってたの。
私も気持ち分からなくも無いから、可哀想で・・」

「コラッ留衣!
後援会の皆さんあってなんだぞ?」
と、隆之に怒られ、留衣は肩を竦めていた。

「大変ですね?
私に出来る事があったら、いつでもお手伝いしますので?」

「有難う!
あっどうだった、レストラン?」

「もぅー凄く良かったです!
食事も美味しかったし、景色もショーも一望出来て幸せでした!
良い記念になりました。
本当に有難う御座いました。あっこれ、ほんの気持ちなんですけど?澪ちゃんに!」




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