剛力家の三兄弟
「えっ!
本当に出て行っちゃうんですか?」
「まぁ・・バターの効いた炒り卵にもやっと慣れて来て、ちょっと寂しい気もするけどな?」
と、明憲は笑いながら言う。
明憲の言葉に、真奈美は頬を膨らませ、“炒り卵じゃなくて、スクランブルエッグです!!”と言う。
「最近、ちょっとは上手になってきましたよね?」と、真奈美は禎憲に同意を求めた。
だが禎憲には、“真奈美が作るバター風味の炒り卵も、俺は好きだけど?” と言われてしまった。
もぅ!
あれは、スクランブルエッグなのに・・
ちょっと、火を止めるタイミングが、遅いだけで炒り卵みたいになっちゃうのよね?・・
スクランブルエッグ以外は、失敗しないのに・・
「憲剛さんも出て行かれるんですか?」
「まぁ、その方が良いと思うからね!」
「仕事の為ですか?」
「いや、仕事の為って言うより、二人の邪魔したくないって気持ちが強いかな?」と憲剛は言う。
「禎憲さん、邪魔だなんて思いませんよね?」
「ん?・・・うん・・」
「おい、何だよその間?
マジムカつくわ!
自分だけ幸せになりやがって!
俺、色々協力してやっただろ?」
と、憲剛はそう言って、手元にあったネズミランド土産のお菓子を禎憲へと投げた。
「あー、ムカつくから、俺も結婚するまで、ここ(実家)に居ようかな?」
「あっ!
それが良いです!
今まで通り、皆んな一緒がいいですよ!
ね、そうしましょう?
大勢の方が楽しいし、食事もおいしいですから?
ね、禎憲さん?」
真奈美の提案に、禎憲は渋い顔をしたが、真奈美が望むならと、賛成した。その時、テーブルの上に置いてあった禎憲のスマホが鳴った。
えっ?
ユリさん・・
禎憲のスマホ画面には、ユリの名前が表示されていたのだ。
「何の様だ?」
『➖➖➖』
「はぁ!?」
禎憲は少し席外すと言って、ダイニングルームを出て行ってしまった。
何だろ・・
ここでは話せない内容なの?
「部屋はどうしようかしら?
離れを建てるとしても、取り敢えずは、真奈美さんが使ってる部屋を二人で使いなさい?
真奈美さんのお母様へのご挨拶はまだでも、結婚はするんですもの良いわよね?」
法子は早く孫の顔が見たいと喜んでいる。
「真奈美さん、これから忙しくなるわよ?」
離れの建築や式の準備など忙しくなると、それはそれは法子は喜んでいた。
真奈美も、皆んなの祝福は嬉しいが、なぜか今は、心から喜べずにいる。