剛力家の三兄弟
翌朝、ゆっくり寝ていても良いと言われても、いつもの癖で、いつもの時間に目が覚めてしまう。と、言うより、ユリの電話が気になって一睡もできなかった。
真奈美は美代子と食事の支度をしていると、禎憲は、もう出かけるから、朝食は要らないと言う。
「禎憲さん待って!
食事食べる時間もないんですか?」
「ごめん。急ぐから・・」
禎憲を見送る為に玄関へ向かうと、ちょうど玄関の磨りガラスに人影が見えた。
え?
インターホン鳴ってないのに・・誰?
真奈美が玄関の戸を開けると、何故かそこにはユリが立っていた。
えっ!
「禎憲さんおはようございます。迎えに来ちゃいました!」
「駅での待ち合わせだっただろ!」
語尾を荒げる禎憲に、真奈美はビクッと体を震わせた。
「だって待ちきれなかったんですもの!
禎憲さんのお家見たかったし?
でも、なんで真奈美さんが居るですか?」
「え?それは・・」
「そんな事ユリには関係ないだろ?
ほら、行くぞ?」
先を急ごうとする禎憲の腕を、ユリは掴んだ。
「あっ待って!
禎憲さんパス持ちました?」
ユリはこれ見よがしに、真奈美へネズミランドの年パスを見せた。
えっ!
なんで・・
なんで禎憲さんが年パス持ってる事知ってるの?
「ああ、持ってる」と禎憲は言う。
忘れてないか確認させて欲しいと、ユリは禎憲へ言う。
禎憲はユリの要望に素直に応え、財布からネズミランドの年パスを出して見せた。
どうして?
その年パスは私と・・・
「じゃ、行きましょうか?
あっ、今夜はホテル・ミラ◯スタを予約してるので、禎憲さんは帰りませんけどご心配なく?」
と、ユリは言うと真奈美へ微笑んだ。
えっどう言う事?
「禎憲さん?」
真奈美の問いかけに、禎憲は一瞬足を止めたが、ユリは応えないさせない様に、禎憲の腕を組み、禎憲へ何か囁くと、そのまま二人は出かけていった。