剛力家の三兄弟
残された真奈美は、食事の支度に戻っても、包丁で手を切ったり、火傷したりと、全く使い者にならなかった。
「真奈美さん、後は私がやりますので、座ってて下さい」
美代子に促され、真奈美は一人ダイニングの椅子に座っていた。
「あれ、早いな?
今日はゆっくりするんじゃなかったのか?」
憲剛の問いかけにも、真奈美は何も応えずにいた。その後、明憲が起きてきても同じで、真奈美はまるで抜け殻状態だった。
「おい!
何があった?」
憲剛の問いかけに真奈美は何も応えはしなかったが、一雫の泪を流した。
「美代子さん禎憲は?」
明憲の問いかけに美代子は、分からないと首を振る。
「ただ、誰か訪ねていらしたみたいでした」
と、美代子は言う。
それを聞いた憲剛は門前と玄関先の防犯カメラを確認した。
「あの女どう言うつもりだ!」
怒りを露わにする憲剛に対して、明憲は、真奈美を部屋で休ませてくれと美代子に頼み、禎憲の携帯に電話を掛けた。
だが、何度かけても、禎憲と連絡はつかなかった。
「クッソ!禎憲のヤツ何考えてるんだ!」