剛力家の三兄弟

翌朝、目を覚ますと、真奈美は直ぐ禎憲の部屋を尋ねた。だが、禎憲は居なかった。

やっぱり帰ってこなかったんだ・・・

朝食の支度をしに台所へ向かうと、美代子は真奈美の運んで来た、手をつけられてない食事を見て心配する。

「やっぱり、お食べにならなかったんですね?」

「ごめんなさい・・
折角用意してくれたのに?」

「いえ、それは良いのですが、何かお食べにならないと?」

「ええ。部屋に持ち込んでたお菓子食べたから、大丈夫です。でも、皆んなには内緒にしてて下さいね?ご飯食べずに、お菓子食べてると知られると、“子供か!” って叱られますから?」

真奈美は美代子に心配かけまいと、嘘をついた。
だが、朝食にもほとんど手を付けず、美代子だけではなく、皆んなに心配させる事となった。

「真奈美さん、お食事進んでませんよ?」
法子の厳しい眼差しが向けられる。

「すいません。
昨夜、遅がけにお夕飯を頂いたので、あまりお腹空いてなくて・・・あの申し訳ないのですが、今から出掛けたいのですが、宜しいでしょうか?」

真奈美は、法子に許可を取り、美代子に後の事をお願いして、出かけることにした。

「乗せていくよ?」

「え?」

鞄を持ち玄関へ向かうと、明憲が声を掛けた。

「店、開けるんだろ?」

何も言わなくても、明憲さんにはお見通しなんだ?

「すいません。お願いします」

明憲に乗せてもらい店へ行くと、掃除やランチの仕込み、お湯を沸かしたりと、昨日休んだ分、一人で開店の準備をするのは大変だった。
でも、余計な事を考えずに居られるのは、真奈美にとって、良かった様だ。

店のドアが開き、目を向けると、明憲が入って来た。

「あれ、電話頂けたら、二階まで持って行きましたよ?」

「流石に、一人しかいないと知っていて、頼まないだろ?」

「明憲さんにも優しいところ有ったんですね?」

「はぁ゛!?」

「嘘ですよ!コーヒーで良いですか?」




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