剛力家の三兄弟

「何も食べず、一人で営業しようなんて、無理に決まってるでしょ!?
禎憲は、何処で何やってるのよ!(ドンッ!)」
留衣は怒りをテーブルにぶつけた。

「あっ、違うんです。
禎憲さんはお店休むって・・でも、私が勝手に開けたんで、禎憲さんは何も知らないし、悪くないんです。
お二人には、ご迷惑をお掛けしましたが、禎憲さんの事、怒らないであげて下さい。
お願いします」
真奈美は二人に頭を下げた。

「頭なんて下げないで?
私は・・澪の事で借りがあるから・・
明憲だって、暇してるんだから、良いのよね?」

「勝手に暇だとお前が決めるな!」

「あら?違うの?」

言葉に詰まる明憲に、留衣は、“それにしても、よくやっていけるわよね!” と呆れていた。

「明日の仕入れの確認が有るので、ちょっと失礼します。
おかわりは遠慮しないで言ってくださいね?」
と、言って真奈美は、厨房の中へと入った。

いつも来て頂いてるお客様の為に、って思ったけど、やっぱりひとりでお店開けるなんて、無謀だったかな?
結局、皆んなに迷惑かけてしまったし・・・

明日の仕入れの確認をしてると、店のドアが開いた。

「いらっしゃいませ!えっ」

「なんで、店開けてるんだ!」

「なんでじゃないだろ!?
お前(禎憲)今まで、何処で何してた!」

明憲から問い詰められた禎憲だったが、顔をそらし何も答えようとはしなかった。
そして、何も答えようとしない禎憲の代わりにユリが答えた。

「どこでって、私達はネズミランドに行ってたんですよね?禎憲」

「なんでお前がここに居る!?」

「なんでって、禎憲さんと帰って来たからですよ?」

「はぁ゛?
俺が聞いてるのは、なんで禎憲と一緒なんだって事だ!」

「なんでって、私、昨日誕生日だったんですよね、で、禎憲さんがお祝いしてくれるって言うから、ネズミランドでお祝いしてもらったんです。
ほら、これ良くないですか?
お揃いで作って貰ったんです!」

そう言って見せてくれたのは、ユリと手を繋いだ禎憲の右手首と、ユリの左手首につけられた、革製のミサンガだった。

なんで・・・
なんで、ユリさんとお揃いなの?
禎憲さん・・・何か言ってよ・・・

(バッシン!)

「あんた、禎憲さんに何するのよ!!」

否定も何もしない禎憲の頬を、留衣が叩いたのだ。そして、怒りを露わにしたユリが、今度は留衣の頬を叩こうとした。だが、間に真奈美が止めに入った為、ユリの手が真奈美の顔に当たった。

(バッシン!)(ドン!ガタガタ!)

『真奈美!』




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