剛力家の三兄弟

起きて来た禎憲は、真奈美の挨拶に応えはしても、昨日と変わらず、真奈美の顔を見る事は無かった。
しかし、真奈美はいつもの様に禎憲と一緒にカフェで働いていた。
美代子の “人の心ってそんなに簡単に変わりますかね?” と言う言葉に、真奈美は禎憲を信じてみようと思っていたからである。

だが、そんな真奈美の気持ちを、禎憲は知ってか知らずか、毎週月曜日の朝迎えに来る、ユリと二人で出かけて行き、翌日の朝に帰ってくる様になった。

その為、禎憲は店の休みを、日曜日の1日から、日曜日と月曜日の2連休にすると言い出したのだ。
だが、真奈美はそれに反対して、独断で店を開けていた。

始めの頃は、留衣や明憲が手伝ってくれていたが、毎週となるとそうもいかず、真奈美ひとりで店を切り盛りし始めていた。

そんなある日の月曜日、真奈美は店で倒れてしまった。
たまたま顔を出した憲剛が、倒れている真奈美を見つけ、救急車を呼んでくれたお陰で、大事にならなかったが、医師からは睡眠不足と過労、そして栄養不足との事で、暫く入院を勧められたが、真奈美はそれを断り、美代子に付き添われ剛力家へと戻って来た。

「お前(禎憲)いい加減にしろよ!?
何考えてるだ!」

「だから、定休日を増やすって俺は言っただろ!」

「定休日がどうこう言ってる話じゃないだろ!?
お前の気持ちは、何処にあるんだって言ってるんだ!」

「そんな事、憲剛には関係ないだろ!」

「俺は・・今回ばかりは、お前を許せない!!」

何やら騒がしいと思って、話し声のする部屋を覗くと、憲剛が禎憲の胸ぐらを掴んでいた。

「待って!憲剛さん止めて!
私が悪いんです!勝手に店を開けた私が悪いんです!
だから、禎憲さんを責めないで!」

「憲剛、真奈美が悲しむ止めておけ!」
明憲の言葉に、憲剛は振り上げていた拳を下ろした。

「禎憲?
俺達は三つ子だから、お前(禎憲)や憲剛の気持ちは自分の気持ちの様に、分かると信じて来た。
だが、今回ばかりは、お前(禎憲)の気持ちが全然分からない。
だから、お前の気持ちを汲むことはしない。
真奈美の気持ちを全力で、俺に振り向かせる!」

この時、明憲は禎憲へ宣戦布告をしたのだ。
憲剛も同じく、禎憲へ宣戦布告をした。

「真奈美、悪いが俺本気で行くから?」

えっ!

明憲の言葉に、戸惑っている真奈美だった。




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