剛力家の三兄弟

「立てないって…そんなに痛かったですか?ごめんなさい」

真奈美は禎憲に肩を貸し、皆んながお土産を買う為ショップへ入って行くのを横目に、禎憲を支えながら、アーケードを抜けて行く。

ショップ見たかったなぁ…

真奈美はネズミランドが大好きで、毎月、給料日後の日曜日には、必ず来ている。
別れた弘樹とも、年パスを買おうと話していたくらいだ。

「ショップ覗いて行く?」

「いえ、大丈夫です。余裕が出来た時にでも、また来ます」

「あー痛っ、めっちゃ痛くなってきた」

「ごめんなさい…」

「やっぱり痛くて帰れそうも無いわ…今日は泊まった行こう?」
禎憲は目の前のお城を指差す。

「多分、部屋空いて無いと思いますよ?」

「聞いて見ないと、わかんないじゃん?」

「・・分かりました。じゃ、電話して見ますね?」
ホテルに確認したら、運良く空いていた。

「部屋空いてるそうです。フロントまで送ったら、私は帰りますね?」

「えっ?送るって…一緒に泊まるんだろ?」

禎憲は真奈美に預けていた体を、自ら立つと聞き直した。

「禎憲さん、足は?」

「え?足…あー痛い痛いマジ痛えーよ。一緒に泊まってくれるよな?これじゃ、風呂に入るのも大変だし?」

「いえ、私は帰りますよ?法子さんと約束してますから?」

「約束?」

「はい。皆さんと出かけても、必ず帰ってくる様にって言われてます。それに、ホテルに泊まる様なお金の余裕無いですから!」

禎憲は真奈美の言葉に肩を落とし、“帰る” と、言って、禎憲は真奈美の手を繋いだ。

え?
「あの…この手・・」

「良いじゃん?家に着くまでこうしててよ?」

禎憲は繋いでいた手を、恋人繋ぎへと指を絡めた。

「俺、本気だから」

え?




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