剛力家の三兄弟
「マスターはユリさんの事、頼りにしてるですから、ユリさんはもっと自信持って、自分をアピールすべきですよ!」
「そうかしら?」
「そうですよ!長い事働いて、お店の事誰よりも知ってるのユリさんじゃないですか?だからあの時だって、結局マスター、ユリさんを辞めさせなかったじゃないですか?
真奈美さんの事なんか、気にしなくて良いと思います!」
「でも、あれは…真奈美さんが口添えしてくれたからで…」
「真奈美さんの事なんて、関係ないですよ!
ですよね⁉︎ 真奈美さん!」
「えっええ…エミちゃんの言う通りだと思います。ユリさんが居ないと、お店回らないですから…」
「そう?
真奈美さんにそう言って貰えると嬉しいわ?
有難う。これからもよろしくね?」
「・・はい・・こ、こちらこそ宜しくお願いします」
その後もエミは、真奈美に対しての冷たい態度は変わらなかったが、その度にユリがフォローしてくれていた。
「おい真奈美?今日の仕込みどうなってる?」
下のカフェに居る禎憲から事務所にいた真奈美へ確認の電話があった。
今日のランチはカツレツ。
真奈美はいつもの様に、事務所の掃除を済ませた後、ランチの仕込みを済ませていた。
「え?冷蔵庫に入れておきましたよ?」
「何処の冷蔵庫だ?」
何処のって…
「いつも入れる、食材の方の冷蔵庫ですよ?」
だが、禎憲は無いという、禎憲が探しきれないのだと思い、真奈美は急ぎ下のカフェに下り、厨房へ入ると冷蔵庫の中を確認する。
だが、いくら探しても仕込んだ筈のカツが無い。
どうして…
ちゃんと仕込んで冷蔵庫に入れておいたのに…
「えー無いんですか?
真奈美さんどうするんですか?
注文入ってるのに!」
「え?」
どうすると言われても…
私はちゃんと仕込んで冷蔵庫へ…