剛力家の三兄弟
「私は、今日この場ではっきりして欲しいの!
こんな巫山戯た話、聞けるわけないでしょ!?
後日なんて、私には無い!
私、明日この家出て行きますから!」
「気持ちはわかるけど、少し落ち着け、あの人達言い出したら聞かないから、今日のところは諦めたほうがいいみたいだなぁ?」
憲剛は冷静に判断し、真奈美へ、“明日、改めて話す事にしよう?” と、助言する。
「なんで、異議が認められないの!?
実際の裁判でも異議は認められるでしょ!?」
「基本異議を唱えるのは、原告の誘導尋問や、被告に不利益になると判断した場合で、今回、剛力家の養子になる事は、行く当てのない君にとって、不利益にはならない」と、明憲は言う。
「だからって・・」
「勿論、君の人生は君のもので、君の意思に反して勝手に決める事は許されないし、俺も許さない!」と、明憲は続けた。
納得のいかない真奈美は最後まで訴えていた。
憲剛の助言や、明憲からの話を聞いても、納得いかず、真奈美は食事も取らずに、自分の部屋へ篭り、そのまま朝を迎えた。
翌朝、真奈美はいつもの様に朝食の準備を手伝いはしたが、食事の席に着く事はなかった。
いつでも出て行ける様に、真奈美は荷物を纏めていたのだ。