剛力家の三兄弟

憲剛に腰を抱かれながら、店に入ってくる真奈美の姿を見たエミとユリは驚いていた。
だがエミは「今度は憲剛さんですか?」と、含みをもった言い方をして笑った。

「え?あっこれは…」

真奈美の腰を抱いてる憲剛の手を外し、真奈美は、“ 違う! ” と言う。

「で、今さら、何の用ですか⁉︎」

エミの質問に真奈美は何も言えず黙っていた。
ここで、給料を貰いに来たと言えば、更にエミから嫌味を言われると思ったからだ。

「エミちゃん。真奈美さんは、残りのお給料を取りに来たのよ?そんな言い方しちゃ駄目よ?」
ユリはエミを諭す様に言う。

「だってユリさん!
勝手に辞めるって言って、仕事放って帰ったんですよ?
昨日、この人が帰った後、私達がどれだけ大変だったか!散々迷惑かけておいて、給料貰うなんて図々しいですよ!」

勝手に辞めたって…

「確かに真奈美さんが帰った後、ホント大変だったけど、真奈美さんは真奈美さんで、自分の犯した事の責任を取ろうと考えての事だろうし、そんなに責めては駄目よ?」

「ほんとユリさんは優しいですね?」

エミの言葉にユリは微笑み、普段あまり顔を出さない、剛力家夫妻へ挨拶をした。

そして「皆さんお揃いで、今日は、どうされたんですか?」と聞いた。

ユリの問いに、法子が一歩前に出た。

「最近、この店にネズミだか猫だかが、店の物を盗んでると聞いて、駆除しに来たのよ?」

法子さん…

「奥様、その件ならもう解決済みですから、ご心配ありませんよ?
もう二度とネズミは出ませんから?」
答えたのはエミだった。

「そう。解決済みなの?でも、ちゃんと確認しなくちゃね?明憲」

「はい。では、ユリさん達も一緒に確認して貰えますか?」

明憲は店内に用意されたテレビに、配線を取り付け、映像を見せた。

え…?
嘘…





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