剛力家の三兄弟
真奈美達が出かけ様とした時、出掛けるついでに、届け物をして欲しいと法子は真奈美達に頼んだ。
「櫻井の家に、これを届けて欲しいの?」
と、法子は紙袋を差し出した。
櫻井の家…?
真奈美が了承の返事をしようとしたが、禎憲は直様 “嫌だ” と言った。
だが、そこですんなり諦める法子では無く、“ギブアンドテイクよ?” と、ニッコリ笑った。
ギブアンドテイク…?
禎憲は渋々、“分かったよ!” と言って、法子が持っていた紙袋を受け取った。
車は30分ほど走ると、大きな屋敷の前で停まった。そこは剛力家程ではないが、それでも大きな門構えの洋風の建物だった。
ここが櫻井さん…家?
ここも立派な家・・だこと・・。
やっぱり、お金持ちはお金持ちどうしのお付き合いがあるんだぁ・・?
真奈美が呆けていると、赤ちゃんを抱いた若い女性が出て来た。
「禎憲、久し振りね?
元気してた?」
「おお、留衣!
澪も一緒か?
また、少し大きくなったな?」
真奈美も車を降り、挨拶することにした。
「初めまして、私、剛力家で行儀見習いをしてます、佐伯真奈美と言います」
真奈美は名乗ると留衣に一礼した。
だが、その女性は真奈美の挨拶など、どうでも良いらしく、なんの反応もなく、抱いていた赤ん坊を禎憲へと預けた。
「澪ちゃん、ほら禎パパよ?
久し振りに禎パパに会えて良かったわね?」
「やめろ留衣!
なにが禎パパだ?どう言うつもりだ⁉︎」
「あら、今日は澪を1日見てくれる日でしょう?」
えっ?
禎憲さんに子供が居たの…?
「巫山戯るな⁉︎
なんで俺が?」
「あら、巫山戯てないわよ?
養育費を払ってれば、親の務めを果たしてるなんて思わないでね?」
「留衣!!」
「大きな声出すと、澪が怖がるわ?」と言って、禎憲の抱く澪の顔を覗き込んで気遣っていた。
留衣の行いに、禎憲は我慢できなくなった様で、澪を留衣へ押し返そうとしたとたん、今までご機嫌だった澪が泣き出してしまったのだ。
「禎憲さん酷い!」
禎憲の行いに怒りを覚えた真奈美は、禎憲から澪を奪い取り、“澪ちゃん大丈夫よ?泣かないで” 真奈美は澪をあやした。
すると、“合格!” と言って男性が手を叩きながら出て来た。
え?
「隆之!どういうつもりだ!!
お前ら何企んでる!?」
「真奈美さん、初めまして?
僕は櫻井賢之と申します。で、こっちは妻の留衣です。留衣の無礼を謝ります。あなたがどんな方か、自分達の目で確かめたかったものですから。
それで、突然で申し訳無いが、澪を1日預かって頂けないだろうか?」
「ダメに決まってるだろ!!」
「はい。良いですよ?」
「真奈美・・何言ってる?」
留衣は真奈美に謝罪をし、澪の着替えと、車の鍵を渡した。
「チャイルドシートの取り付け変えしてるより、うちの車を使った方が良いでしょ?」