剛力家の三兄弟

「澪ちゃんのおてて、ちっちゃいでちゅねぇ?ウフフ…ホント可愛い。
あっ笑った!」

「真奈美どう言うつもりだ?」
運転席から機嫌の悪い禎憲の声が飛んでくる。

「どう言うつもりも何も、困ってるなら、暇してる私達が、子守するの当たり前じゃ無いですか?」

「暇なんてして無いだろ?」

櫻井賢之は禎憲達の従兄弟で、留衣とも幼馴染だった。その為、互いに下の名前で呼び合う仲なのだ。

「それにしても、禎憲さんに隠し子が居たとは・・知りませんでした」

「だからそれは違うって言ってるだろ!」

「養育費もちゃんと払ってるなんて、とても偉いと思いますよ?
今は、養育費を払う人も、少ないらしいですから?」

「あれは養育費じゃなくて、お年玉を送っただけだって!
正月に行けなかったから、送らなきゃ絶対、後から冷たい奴だって、留衣が五月蝿いだろうからって、明憲と憲剛も一緒に送ったんだって!」

櫻井家は法子の実家で、賢之とは叔母甥の関係である。
櫻井家は代々政治家で、法子の兄である、賢之の父親は民主平和党の幹事長をしている。
今日は父親の講演会へ、賢之夫妻も参加する事になっていたのだが、ベビーシッターの都合がつかなく、美代子をベビーシッターとして貸してくれる様に、法子に頼んでいたと言う。
だが今朝、明憲が熱を出した為、美代子を櫻井家へ貸し出す事が出来なかったのだ。

「お袋も、自分が頼まれたんだから、自分が子守すれば良いんだよ!」

「仕方ないですよ?
法子さんには、前々からお茶会に出席する予定が入ってたんですから!」

「にしても、こんな赤ん坊連れてランドなんて大変だなぁ?はぁ…」

大きな溜息をつく禎憲を真奈美は笑う。

「じゃ、やめますか?」

「嫌、行く!」

なんで、そんなに行きたがるんだろ?
そんなに気に入ったの?

「ランドは小さな子にも優しい所なんですよ?
ママが赤ちゃんに母乳飲ませれるスペースやミルクを作る為のお湯も用意されてるし、離乳食だって色々有るんですよ?」

「随分詳しいな?
真奈美こそ、隠し子がいるんじゃ無いか?」

「いるって言ったらどうします?」

「・・・・」

言葉を失ってる禎憲を、真奈美は後部座席で笑いを堪えていた。

「嘘ですよ?」




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