わたしを光へ。
決してそれは優しさじゃない。
私を逃がさない為、抵抗させない為の重さ。
小さく漏れた悲鳴が電話の向こうに聞こえていたかは分からない。
「…うん、大丈夫」
「美月?何かあった?」
加賀くんの手がするりと私の髪を掴み、頭皮を撫でる。
恐怖で縮みそうになるが、洸の声を聞いて、頭が少しクリアになった。
もし今洸に助けを求めても、此処の場所を説明出来ないし、加賀くんが此処から出してくれる筈もないだろう。
今は逆らうわけにはいかない。
「ごめん、私と別れてほしい」
この言葉を聞いた彼が、私の家に行って何が起こったか勘付いてくれることを期待して。
私は加賀くんの言うままに、洸に別れを告げた。