無愛想な同期の甘やかな恋情
そう返事をすると、彼は意味がわからないというように、きょとんとした顔をした。


「俺と? どうして」


困惑した表情を浮かべる彼に、私はグッと顔を上げた。
思い切って、口を開く。


「私……初めて通った企画の商品、間中さんと創れるって思ってたんです」

「え?」

「あれは、間中さんの協力があったからこそ、通った企画だったので」


テーブル越しに身を乗り出して言い募る私に、彼は呆気にとられた様子で、瞬きを繰り返した。


「俺が? ……協力って、なんだっけ?」


間中さんは、私の言う『協力』を、即座に思い出せないようだ。
研究員は、日々、様々な実験に取り組んでいる。
商品として完成して世に出した後も、品質改良・改善のための研究は果てしなく続くし、私のように、企画前に研究の相談をする人も多い。


間中さんにとって、私のは、たくさんの依頼の中の一つだ。
私の夢を叶えてくれたことを、彼が覚えていなくても、がっかりはするけど仕方のないこと。


「あの時私、間中さんにアドバイスを求めて。そしたら、お忙しいのに実験して検証してくれて」

「アドバイス……そうだったっけ」


思い出そうとする間中さんを、後押しするつもりで告げても、彼は目線を宙に漂わせたまま。
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