無愛想な同期の甘やかな恋情
翌日、午後一時半から、『AQUA SILK』のブランド定例会議が始まった
毎回、冒頭で、営業・販売結果の還元が行われる。
今日はその後で、穂高君が研究報告に立った。


「企画の冴島から提案を受け、既存の口紅の色味調整に着手しました」


そんな前置きをして、穂高君はプロジェクターを操作した。
みんなが真剣にプロジェクターを見つめる中、彼は資料には目を落とさず、流暢に朗々と説明する。


「来年の春夏モデルからの改良を目指して、研究スケジュールを組んでます」


終始淡々とした口調で発表を終え、質疑応答に入る。
広報部の男性が、挙手した。


「スケジュールの共有をお願いします。販売に間に合うようなら、広告制作もギリギリまで待ちますので」


穂高君は「わかりました」と答え、手帳を広げてメモした。


「ラボに戻り次第、現状でのドラフトをお送りします。進捗状況や、スケジュールの変更があれば、ご報告します」

「助かります」


広報部以外からの質問はなかった。
それを見て、穂高君は、「以上です」と発表を締め括った。


今日は発言者も少なく、会議は予定より二十分ほど早く終了した。
メンバーたちが散会する中、穂高君は、相変わらずマイペースに片付けをしている。
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