無愛想な同期の甘やかな恋情
彼に首を傾げてから、目線を横に流す。


「思い出してほしくて、全部話したの。そしたら間中さん、『やっぱり俺じゃない』って」

「え?」

「間中さん、仕事に夢を抱いたことはないって。だから激励にしても、『夢が叶いますように』って言い方にはならないって」


穂高君にも、フォローのし様がなかったんだろうか。
ひゅっと音を立てて息をのみ、絶句している。


「だから、言わなかった。だって、間中さんは私の夢を叶えてくれた、魔法使いじゃなかったから」


私は明るく声を張って、彼を仰ぎ見た。
穂高君は、男らしい喉仏を上下させて、私を見つめている。


私は、はは、と乾いた声で笑って、きゅっと唇を噛んだ。
俯くと、横顔に髪が垂れた。
それが邪魔で、無意識に掻き上げ、生え際でぎゅっと握りしめる。


「でも……穂高く、は」


急に込み上げてきた緊張で、喉がカラカラに渇いていた。
喉に声が貼りついてしまい、途切れ途切れにしか出てこない。


穂高君が、戸惑い混じりに、「え?」と聞き返してきた。
私はごくんと唾を飲んで喉を潤し、思い切って一歩前に踏み出す。


「穂高君は、仕事に熱く夢を語った私を、笑わなかった。それどころか、もっと大きくしてやるって、そう言ってくれて」


それを思い出して、やっぱり私の胸はきゅんと疼く。
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