無愛想な同期の甘やかな恋情
「うん」


私は穂高君にまっすぐ目を合わせ、一度小さく頷いた。


「私、もっともっと……穂高君のこと、ものすごく好きになりたい。穂高君と、恋がしたい」


猛烈に速い拍動を繰り出す胸が苦しくて、痛みすら覚える。
それでも、必死に笑みを浮かべた私に、穂高君は一瞬グッと顔を歪めた。
そして――。


頬に触れていた手を、私の頭の後ろに回した。
そこに力を入れて、勢いよく私を引き寄せる。


「っ……」

「今夜。俺の家に来て」


穂高君の肩にトンと額がぶつかり、ハッと息をのんだ私の耳に、彼が掠れた声で囁きかける。
短く早口な『お誘い』に、私の胸は限界を超えて高鳴る。
声に詰まり、返事ができない私に、


「超特急で仕事終わらせて、本社まで迎えに行く」


一方的に約束を被せ、穂高君は私から手を離した。
顔を真っ赤に染めて、胸元で資料をぎゅうっと抱きしめる私の横を、スッと通り過ぎていく。


彼が残した微かな風が、頬をくすぐる。
そんな感覚にも、私の胸はときめいてしまう。


「っ、穂高、く……!」


ぎこちなく途切れる声で呼びかけた時、もう穂高君はドア口から廊下に出て行ってしまっていた。
大きな歩幅でまるで弾むように駆けていく足音が、会議室からどんどん遠ざかって行った。
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