無愛想な同期の甘やかな恋情
間中さんが、「おー」と気の抜けた返事をする。


「穂高さん、お疲れ様です。ジェラート、どれがいいですか?」


第一声の後は無言で歩いてくる穂高君に、糸山さんが声をかけた。
私の向かい側のソファに回った彼が、ちらりとボックスに目を向ける。


「歩武。ホワイトチョコとラズベリーのが、新作らしいぞ」


間中さんが、まるでそれに誘導するように、口角を上げて告げた。
穂高君は表情も変えずに、「じゃあそれ」と即答する。


糸山さんはクスクス笑って、穂高君にジェラートとスプーンを渡し、ボックスを持ってソファから離れて行った。
その背を見送る私の前で、早速ジェラートを食べ始めた穂高君が、「美味い」と間中さんと同じ感想を呟く。


「ほんと? よかった」


ホッと息を吐く私に、穂高君がちらりと目線を上げる。


「もしかして……俺がここのジェラート好きだって情報漏らしたの、間中さん?」


表情を変えずに問われて、間中さんが瞬きを返した。


「ああ。いけなかったか?」

「別に」


聞き返された穂高君はすぐに目を伏せ、せかせかとジェラートを口に運ぶ。
このままでは、せっかく時間を取ってもらえたのに、ジェラートを食べ尽くしたら、また研究に戻ってしまいそうだ。
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