無愛想な同期の甘やかな恋情
「あの、穂高君!」


私は、自分のジェラートはテーブルに置いて、持ってきた企画書を手に取った。
テーブル越しに身を乗り出し、彼の前にスッと差し出す。


「これ、今回通った企画書」

「ん」


穂高君は軽い相槌を打って、スプーンを咥えたまま企画書を手に取ってくれた。
文字を追っているのか、黒い澄んだ瞳が横に動く。


「冴島さん、次々と企画通して、すごいね。今度、俺ともなにかコンビ組まない?」


間中さんが感嘆したように、私にそう声をかけてきた。


「えっ?」


私はドキッとしながら、聞き返す。
間中さんは、うちの男性用基礎化粧品のブランドに携わっている。
今まで私は、一緒にチームを組む機会もなかったけれど。


「嬉しいです。『AQUA SILK』では出せない企画が通った時は、ぜひ」


声を弾ませて返事をすると、間中さんは「うん」と目元を和らげた。


「冴島さんの企画なら、絶対ヒットする。いつも歩武が独占してるけど、本当は一緒にやりたいと思ってる研究員、大勢いるんだよ」

「えっ」


からかうように目を細めて、ふっと吐息混じりに笑う間中さんに、私の胸は拍動を強める。


「別に、俺が好んで独占してるわけじゃないですけど」


穂高君が、淡々と言葉を挟んだ。


「っ……」


そこに、わかりやすい拒絶を感じて、私は声に詰まってしまう。
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