無愛想な同期の甘やかな恋情
「冴島が企画した初めての商品に、俺が参画したのは、たまたまだし。その流れで、今も一緒にやってるけど、冴島が他の研究員がいいって言えば、交替しても……」

「『AQUA SILK』は、穂高君じゃなきゃ、ダメ!!」


テーブルにバンと両手を突いて、私はしっかりと立ち上がった。
穂高君は、スプーンを動かす手を止めて、喉を仰け反らせて私を見上げている。


「最初はたまたまでも、私は……」

「たとえば。最初が間中さんだったら、お前と名コンビって言われるのは、間中さんだったとしても?」

「っ、え?」


彼がボソッと言った言葉の意味が瞬時に読めず、私は口ごもって聞き返した。
間中さんは、黙って私たちを交互に見遣っていたけれど。


「悪い。俺、そろそろ研究に戻るな」


食べかけのジェラートを持って立ち上がった。
それには、私も穂高君も目線を上げる。


「社が誇る『名コンビ』は不滅だろ? 仲違いするなよ」


窘めるように私の肩を叩いて、白衣の裾を翻す。


「あ……」


なんだか気まずい思いで、私はそっと目を伏せた。
事務所から出て行く間中さんの背に、糸山さんが「行ってらっしゃい」と声をかけている。
それを耳にしながら、私はストンとソファに腰を下ろした。


私と穂高君を気遣ったのだろうけど、この空気の中で二人きりにされてしまい、居心地悪さに身を竦める。
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