無愛想な同期の甘やかな恋情
結局、私は彼と向き合ったまま、目線を逃がし、俯いてしまった。


「……ごめん。悪かった」


短い沈黙を破ったのは、穂高君の方だった。


「俺も、『AQUA SILK』の研究主任の座は、誰にも譲りたくはない」


歯切れ悪く言い辛そうに、でもはっきりとそう告げてくれる。
私はほんの少しホッとしながら、黙って彼に目を向けた。


「でも……冴島、間中さんと仕事したいだろ?」

「えっ?」


穂高君が続けた言葉に、私はぎくりと肩を震わせる。
それを、彼は上目遣いで観察して……。


「知ってるよ。冴島が、間中さんに惚れてるの」

「……っ!?」


目を伏せた穂高君に、私はドキッとして息をのんだ。


「なっ……なにを」


一瞬頭の中が真っ白になりながら、慌てて反論しようとする。
けれど、彼は私の反応を、涼しい目で見遣るだけ。


「企画書、サンキュ」


パクパクと口を動かすだけでなにも言えない私の前で、安定の素っ気なさでそう言った。


「またしても難しい研究になりそうだけど、尽力させてもらう」

「あ……うん」


爆弾発言をしたのは穂高君なのに。
私の反応は必要とせず、さっさと仕事の話に戻してしまう彼の前で、私もそれしか返せない。
結局、ジェラートを差し入れして企画書を渡しただけで、私は早々にラボから退散した。
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