無愛想な同期の甘やかな恋情
水曜日の午後一時半。
毎週この時間、週に一度のブランド定例会議が行われる。
午前中の仕事が立て込んだせいで、休憩に入るのが遅くなってしまった。
急いでランチを終えて、いつもの中会議室に駆け込むと、十五人のチームメンバーの大半が集まっていた。


『AQUA SILK』の商品企画、製造から販売に至るまで、このブランドに携わっている人たち。
ブランドの起ち上げから三年、何人か入れ替わりもあったけど、ほとんどのメンバーは不動だ。


先に来ていた人たちに「お疲れ様です」と挨拶しながら、窓際の空いている席に腰を下ろす。
そっと室内に視線を走らせると、穂高君もすでに来ていた。
コの字型に並んだテーブルの向かい側、端っこの席で頬杖をついているのを見つけた。


ラボではいつも白衣を着ている彼が、この会議の時は周りと変わらない普通のスーツ姿。
営業部の男性と並んで座っているせいか、こうして見ると研究員ではなく、ちょっと愛想の悪い営業マンと見えなくもない。


営業……絶対不向きだろうな。
取引先に乗り込んで商品のプレゼンをしたり、販売スペース拡大の売り込みを仕掛けたり……。
いつもどこか物憂げな穂高君が、アグレッシブに動き回る姿を想像して、私は失礼ながら、ついふふっと吹き出してしまった。


それを、隣の広報部の女性に聞き拾われる。
「どうかした?」と訊ねられ、慌てて笑って誤魔化した。
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