無愛想な同期の甘やかな恋情
気を取り直して「ふうっ」と声に出して息を吐く。
そして、会議の始まりを待っている穂高君に気付かれないよう、ちらりと横目を流してそっと探る。


まさか、穂高君が、私が間中さんに片想いしてることに気付いてたなんて――。
ラボから逃げ帰ってくるしかなかった、つい数日前の自分を思い出し、なんだかソワソワしてしまう。


昔は、親からも友人からも、『考えてることがわかりやすい』と言われた。
中学、高校で同級生に秘めた片想いをしていたことも、親しい友人にはバレバレだったようで、『〇〇君が好きなの』と打ち明けると、『そうじゃないかと思ってた』とけろっと返されることもしょっちゅうだった。


思ってることがすぐに表情に出てしまう、よく言えば素直な性格。
悪く言えば情動をコントロールできないと取られ、社会人としては未熟。


ずっと気をつけていたつもりだったのに、ラボで間中さんと顔を合わせて言葉を交わしている時、やっぱり顔や声色に表れてしまったんだろうか。
完全に『私』に無関心な穂高君に見抜かれていたなんて、よほどダダ洩れだったに違いない。


今週は、企画が通った新商品について、メンバーみんなに説明しなきゃいけない。
大事な発表を控えているというのに、私は会議が開始されても、穂高君をチラチラ窺ってばかりいた。
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