無愛想な同期の甘やかな恋情
「あ……歩武、く」


初めて名前を呼んだ私に、穂高君が一瞬ピタッと行動を止める。
私は背後の彼を振り返り、先ほどよりもはっきりと唇を動かした。


「歩武君。あゆ……」

「このタイミングで、名前で呼ぶとか。……お前って」


穂高君は目を伏せ、小さな吐息を漏らした。
そして、一度クッと眉根を寄せる。
なんだか苦悶するような表情を浮かべた後、抱擁を解き、いきなり私を横抱きに抱え上げた。


「っ、え!?」


足元が掬われ、ふわっと浮き上がる感覚に、慌てて声をあげる。
咄嗟に縋るものを探して、彼の首に腕を回してぎゅうっとしがみついた。
ほんの数歩でベッドに辿り着き、彼は私を静かに下ろしてくれた。


「あ……」


瞬きをする間もなく、穂高君がベッドに乗り上げ、私を両腕の中に囲い込む。


「狂わせてやるから、もっと聞かせて」


情欲にけぶる目元。
どこか潤んだ瞳が、堪らず色っぽい。
大きくドキッと胸を弾ませる私に覆い被さり、彼は耳元で囁いた。


「俺の名を、呼ぶ声」

「んっ……あ、歩武く……。歩武、君っ……!」


私はすぐに彼に翻弄されて、その夜、乞われるままに、何度もその名を呼んだ。
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