無愛想な同期の甘やかな恋情
実験テーブルの前に立った彼は、試験管を目の高さに摘まみ上げ、軽く揺らしている。
「う~ん。もう一息……」
なにか納得がいかないのか、左手で顎を摩りながら呟く。
真剣な鋭い瞳が、研究者らしい。
思考を巡らせる厳しく難しい横顔も、私は大好きだけど。
「出陣式だってば! なんで全然支度してないの!?」
しかも、いつもに比べて、髪が乱れてるのはどうして!?
私は焦れた気分で、彼の白衣をグイと引っ張った。
「あ、おい」
その反動で背を反らした歩武君が、ギョッとしたように振り返る。
「美紅、俺、薬品扱ってるんだけど」
「それは置いて! ここに座って!」
歩武君は私の剣幕にたじろいだ様子で、それ以上は言い返さず、わりと素直に丸椅子に座ってくれた。
「なに? 美紅」
私がなにをしようとしているか確認するかのように、肩越しに見遣ってくる。
私は歩武君に構わず、バッグからブラシを取り出した。
それを手に、早速彼の髪を梳かし始める。
出陣式に出席するために、彼の支度を手伝おうとしていると、理解したのだろう。
「美紅、俺、出陣式はいいから」
歩武君が眉根を寄せて、私の手を掴んで止める。
「う~ん。もう一息……」
なにか納得がいかないのか、左手で顎を摩りながら呟く。
真剣な鋭い瞳が、研究者らしい。
思考を巡らせる厳しく難しい横顔も、私は大好きだけど。
「出陣式だってば! なんで全然支度してないの!?」
しかも、いつもに比べて、髪が乱れてるのはどうして!?
私は焦れた気分で、彼の白衣をグイと引っ張った。
「あ、おい」
その反動で背を反らした歩武君が、ギョッとしたように振り返る。
「美紅、俺、薬品扱ってるんだけど」
「それは置いて! ここに座って!」
歩武君は私の剣幕にたじろいだ様子で、それ以上は言い返さず、わりと素直に丸椅子に座ってくれた。
「なに? 美紅」
私がなにをしようとしているか確認するかのように、肩越しに見遣ってくる。
私は歩武君に構わず、バッグからブラシを取り出した。
それを手に、早速彼の髪を梳かし始める。
出陣式に出席するために、彼の支度を手伝おうとしていると、理解したのだろう。
「美紅、俺、出陣式はいいから」
歩武君が眉根を寄せて、私の手を掴んで止める。