無愛想な同期の甘やかな恋情
「う、うん」


乗り気じゃないくせに、私を置いてさっさとドア口に向かう彼を、慌てて追う。
すると、歩武君が思い出したように「あ」と言って、部屋の中ほどで立ち止まった。
スラックスのベルトホールに指を引っかけ、ちょっと離れた位置から、私を観察するように見つめる。


「な、なに?」


まっすぐ向けられる、彼の柔らかい瞳に、私の鼓動が否応なく跳ね上がった。
カッと頬を染め、高鳴る胸に手を当てる私に、歩武君が……。


「ごめん。言いそびれてた。今日の美紅、いつもよりすごく綺麗だ」

「っ……」


照れ臭そうにはにかんだ笑みを浮かべ、それでも直球で褒めてくれる彼に、私のドキドキは止まらない。


「ほ、褒めるの、遅い」


私は照れ隠しで素っ気なく返し、視線を逃がした。
そんな私を、彼はクスッと声を漏らして笑う。


「最初から思ってたけど、タイミング逃したんだって」


惚けた調子で言い訳しながら、再び私の前に戻ってきた。


「う、嘘ばっかり。実験に夢中だったくせに……」


両足を揃えてピタリと足を止めた歩武君に、私は拗ねた気分で唇を尖らせる。
その途端、歩武君がサッと背を屈めて、私にキスをした。
しっとりと押し当てられた唇が、私のそれをくすぐるように動く。
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