涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
りょうたは心配そうに微笑む。
多分言いたいことが分かる。ぼっちの空を気遣って、一緒にご飯食べようとか、言おうとしてるんでしょ。
「あ」
「大丈夫だから」
遮る声が少し大きくなってしまった。
申し訳無さが残る空に、りょうたは持っていたものを差し出す。
目の前にポカポカと湯気がたった。
「またいつか、」
りょうたは空の手を取る。
「誰かとご飯を一緒に食べたくなったら、」
じんわりと温かい器が手の平に触れる。
「その時は俺を道連れにしてね。空ちゃん」
どこまでも無邪気な笑顔を残し、りょうたは小走りで駆けていく。
これ……、くれる、の?
「ぇっりょうたのご飯はっ!?」
はっとして慌てて背中に問いかける。
りょうたは振り返って、両腕で大きな丸を作った。
「親友が持ってくれてるー! 大丈夫ー!」
「ゆっくり食べてね〜〜! あっスプーンは横についてるからそれ使ってねーー!」
少し離れたところで大きく手を振るりょうたは、初めて会った時と何も変わらない。
変わったのは、名前の呼び方だけだ。
いや、
「……ふっ」
それ以外もきっと、変わってる。