涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。
先生の口から吐かれた煙になぜかホッとして、
「……隣すわっていいですか」
息を吐くように、あっさり言葉が出た。
先生は何を言うわけでもなく、灰皿にタバコを潰れて曲がるほど押し付けた。
「提出物なら受け取りますけど」
「……なんの?」
「うわ、めっちゃ目見てくるけど実は全く話聞いてないタイプだ」
「ぶふっ……くくっ」
「こっち向いて」
ーーへ
くいっと顎を持ち上げられて先生と目が合う。
「笑えんのか、そんなふうに」
なぜかホッとしたように微笑む先生と私の間にふわりと風が吹く。
つられてニッと微笑んでやった。
先生はハッとした顔をして立ち上がる。
「英語のプリント今日の放課後締切だからな」
「おまえだけだぞ、出してないの」
えっ、……まじですか。