涙の数より空(キミ)が笑ってくれるなら。



「やるじゃん」



黒髪イケメン、けーちゃんが初めて私に向けてくれた笑顔は上から目線でちょっとムカついたけど。



「はぁっ……はぁ……、」



にしても速い。

けーちゃんも、りょうたも足が速い。けーちゃんに関しては、彼女おんぶしてんのに速いってどゆこと?

りょうたも余裕って感じで、たぶんまだ本気出してないし。



「ぉゎ」



休憩している暇はないらしい。

ご飯を求めてやってきた人たちの列にのまれて、りょうたを見失った。

うぁぁ……来るんじゃなかっ、



「青笑さん」



名前を呼ばれるのと同時に、グッと手をひかれる。



「大丈夫?」

「だ……だぃじょぶ、」



すぽんっと列から抜けて、ふたりになった。

するりと握られた指先と、じっと合う瞳。


今のほうが大丈夫じゃないんですけど……



「りょーた」

「ん?」

「これおまえの分と……それ」

「わーっっけーちゃんやっさしーかわいーっいいこいいこ」

「ぉぇきも……返せ」

「あははっごめんごめん」



おい手繋いだまま喋るな。

え、心臓変な音なってる。

いつ離すのこれぇぇ……

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