恋する耳たぶ
「ごめん、その、なんて言っていいかわからないんだけど」
「……はい」
ちょっと不安になってしまった私の気持ちは顔に出ていたんだろう。
ふっ、と下がっていた匡さんの眉がゆるんで、優しく表情がほどけた。
「他に言葉がみつからないから、言うよ」
きゅっと私の手を握って、匡さんが笑う。
「綺麗だ」
「……え?」
「綺麗だよ、すごく。試着の時も、よく似合うドレスだと思ったけど、すごく綺麗で……びっくりして、なんて言ったらいいかわからなかった」
思ってもみなかった賛辞の言葉に、あっという間に熱が顔に集中するのがわかる。
「匡さんっ……」
こみあげる熱が吹き出しそうになって、その後は言葉にならず……
口を閉じた瞬間に、喉の奥にあった熱は一気に目頭から噴き出した。
「紬未ちゃん?!」
あわてた感じの匡さんの顔も、ゆらゆら揺れる水面の向こうでブワブワ揺れて。
頬が濡れると同時に、横からぬっと突き出た手が小さく折りたたんだティッシュを押し当てた。