恋のはじまりは突然に
「でもさ、結構待ってるよね」

……見られてたんだ、ずっと。これはかなり厄介だなぁ。

どうしようかな。帰ろうかな。でも今帰ったら間違いなく付いてくるよね。

「ね、ちょっとだけでいいからさ。一緒に飲もうよ」
「いや、そういうの私大丈夫なので。他当たってもらっていいですか?」
「お姉さん堅すぎ。もしかして処女?」
「なっ、本当そういうのやめてもらっていいですか」
「ねぇ、どっち?どっちなのー?」

あー、蓮司さんに会えるかもなんて思った数時間前の自分に教えてあげたい。

一人で行くと嫌な酔っ払いに絡まれるから行くんじゃないよ!って、言いたい!

「ねぇ、無視しないでよー」
「ちょっと……本当に困るのでやめて下さい」

さっきから肩とか触ってくるのが本当に気持ち悪くて。

このままじゃ帰れないし、でもここに居たくないし、どうやってこの場を切りぬけようかな……。
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