【完】絶えうるなら、琥珀の隙間
「ていうか、どうした?何か用だったか?」
そう言って翠が控えめな欠伸をしたので、カヤは正座をした。
「……あのー、実はお話がありまして」
「ん?」
こちらを見やる表情は割としゃっきりとしている。
どうやら完全に起きたようだ。
それを確認しつつ、カヤは非常に控えめに口を開いた。
「あのね……もし良かったらなんだけど……明日少しだけ自由な時間貰えたりするかな?祭事を回りたくって……」
伺うように言うと、翠はキョトンとしたように首を傾げた。
「それは全然構わないけど……一人で回るのか?初めての祭事だろ。大丈夫か?」
「あ、えっとね、一緒に回ろうって言ってくれた子が居てね……とっ、友達の子なんだけど」
一瞬言葉につっかえながらも、勢いに任せて言葉を紡ぐ。
自分で言っておいて気恥ずかしくなったカヤは、少し俯いた。
「友達……?ああ、さっき広場からの去り際に言ってた"ナツナ"か?」
「うん、そう。あ、ナツナって言うのはね……」
一応翠に心配をかけまいと、ナツナの事を説明しようとしたカヤの言葉は、
「台所で働いてくれてる子だろ?カヤと同じ年くらいで、ふんわりした感じの」
そんな翠の声が続きを受け持った。
翠がナツナの事を知っているとは思わなかったカヤは、嬉しくて顔を綻ばせた。
「そうそう、その子」
「誰かと一緒なら大丈夫だな。楽しんでこいよ」
翠の言葉に後押しされ、一気に心が弾む。
「うん、ありがとう!」
どうしよう、楽しみすぎて今から笑顔が止まらない。
一人でニヤニヤしていると、翠が口を開いた。
「そう言えば、いつの間にユタと仲良くなったんだ?」
「ユタの事、知ってるの?」
若干驚きつつ尋ねると、翠はこくりと頷いた。
「カヤとはあんまり馬が合わなそうな子だから、いきなり2人で息切らしながら現れて何事かと思ったわ」
カヤは今日起きたユタとの井戸での出会いから、広場までの流れをかいつまんで説明した。
ユタの名誉のため、花は自分とぶつかったせいで折れた事にしたまま。
「って事でね、だからあの時に翠が何か言ってくれなかったら、絶対タケル様から怒られてたよ。ありがとう」
深々と頭を下げながら説明し終えると、翠は笑いだした。
「タケルの拳骨から救えて何よりだよ」
「本当は全部白い花だけにするべきだったんだろうけど、なかなか見つからなくて」
肩を落とすカヤに、翠がニッと笑う。
「あの花な、結構貴重なんだよ。よく見つけたな」
「そうなのっ?どうりで見当たらないはずだ……」
今となっては森であの花を見かけたと思った自分の直感さえ怪しい。
見つかったから良かったものの、もし一輪も見つからなかったら今頃どうなっていた事か。
そう言って翠が控えめな欠伸をしたので、カヤは正座をした。
「……あのー、実はお話がありまして」
「ん?」
こちらを見やる表情は割としゃっきりとしている。
どうやら完全に起きたようだ。
それを確認しつつ、カヤは非常に控えめに口を開いた。
「あのね……もし良かったらなんだけど……明日少しだけ自由な時間貰えたりするかな?祭事を回りたくって……」
伺うように言うと、翠はキョトンとしたように首を傾げた。
「それは全然構わないけど……一人で回るのか?初めての祭事だろ。大丈夫か?」
「あ、えっとね、一緒に回ろうって言ってくれた子が居てね……とっ、友達の子なんだけど」
一瞬言葉につっかえながらも、勢いに任せて言葉を紡ぐ。
自分で言っておいて気恥ずかしくなったカヤは、少し俯いた。
「友達……?ああ、さっき広場からの去り際に言ってた"ナツナ"か?」
「うん、そう。あ、ナツナって言うのはね……」
一応翠に心配をかけまいと、ナツナの事を説明しようとしたカヤの言葉は、
「台所で働いてくれてる子だろ?カヤと同じ年くらいで、ふんわりした感じの」
そんな翠の声が続きを受け持った。
翠がナツナの事を知っているとは思わなかったカヤは、嬉しくて顔を綻ばせた。
「そうそう、その子」
「誰かと一緒なら大丈夫だな。楽しんでこいよ」
翠の言葉に後押しされ、一気に心が弾む。
「うん、ありがとう!」
どうしよう、楽しみすぎて今から笑顔が止まらない。
一人でニヤニヤしていると、翠が口を開いた。
「そう言えば、いつの間にユタと仲良くなったんだ?」
「ユタの事、知ってるの?」
若干驚きつつ尋ねると、翠はこくりと頷いた。
「カヤとはあんまり馬が合わなそうな子だから、いきなり2人で息切らしながら現れて何事かと思ったわ」
カヤは今日起きたユタとの井戸での出会いから、広場までの流れをかいつまんで説明した。
ユタの名誉のため、花は自分とぶつかったせいで折れた事にしたまま。
「って事でね、だからあの時に翠が何か言ってくれなかったら、絶対タケル様から怒られてたよ。ありがとう」
深々と頭を下げながら説明し終えると、翠は笑いだした。
「タケルの拳骨から救えて何よりだよ」
「本当は全部白い花だけにするべきだったんだろうけど、なかなか見つからなくて」
肩を落とすカヤに、翠がニッと笑う。
「あの花な、結構貴重なんだよ。よく見つけたな」
「そうなのっ?どうりで見当たらないはずだ……」
今となっては森であの花を見かけたと思った自分の直感さえ怪しい。
見つかったから良かったものの、もし一輪も見つからなかったら今頃どうなっていた事か。